2025.10.26理美容
魔法の言葉は存在しない。「売る」のではなく「届ける」スタンスを
美容サロンを経営していると、スタッフからこんな質問を受けることがあります。
「どうしたら商品が売れるようになるんですか?」
「お客様におすすめしても、なかなか購入につながらなくて…」
実は、僕が担当しているお客様のうち、月平均で約40%の方が商品を購入してくださっています。
その数字だけを見て「きっと特別な販売トークがあるんだろう」と思う方もいるかもしれません。
でも、僕がいつも伝えているのはこんな言葉です。
「魔法の言葉は、存在しません」
商品が売れるのは、“信頼”が先にあるから
美容室での商品販売は、数字に直結する大切な部分です。
けれど「売ること」自体が目的になってしまうと、押し売りのような印象を与え、結果的に顧客との信頼関係を損ねてしまうことも。
大事なのは、「商品を売る」のではなく「価値を届ける」意識です。
商品が売れるとき、そこには必ず「この人の言うことなら信じられる」というお客様からの信頼があります。
だからこそ僕たちは、「販売スキル」よりも「信頼を育む行動」に力を注ぐべきなのです。
実践している“売れる提案”の基本姿勢
僕自身が日々のサロンワークで大切にしている姿勢を挙げてみます。
1. お客様の悩みを丁寧にヒアリングする
まず何より大切なのは、お客様の“今の状態”を知ることです。
どんな悩みがあって、どんな未来を求めているのか。それを丁寧に聞き取ることで、的確な提案につながります。
2. 話を受け止め、共感を示す
「その悩み、よく分かります」「他にも同じようなお悩みを持つ方がいらっしゃいました」など、共感のひと言は、お客様に安心感を与えます。
3. 必要だと思うものだけを提案する
すべての商品を紹介するのではなく、その方に“本当に必要なアイテム”だけを厳選して提案します。ここにプロとしての判断が求められます。
4. 専門用語ではなく、日常の言葉で伝える
難しい成分名や機能ではなく、「こういう髪質の方が使うと、こんなふうに変わりますよ」と、使用イメージが湧く説明を心がけます。
5. フォローと検証を欠かさない
販売して終わりではなく、次回来店時に使い心地を確認したり、改善点を探ることで、お客様との関係性が深まります。
正解は、現場にある
商品が売れるかどうかに「ひとつの正解」はありません。
大切なのは、「お客様の中にある答え」を探る姿勢です。
たとえば——
「このお客様が、今の髪の悩みを解決するには何が必要か」
「これまでのケア習慣に、この商品はフィットするか」
僕たち美容師は、その問いに対して“ヒント”や“選択肢”を提示する存在。
押しつけではなく、“寄り添う提案”こそが、最終的に購入というアクションにつながるのです。
教えるのではなく、気づきを届ける
僕たちは「お客様の代わりに選ぶプロ」ではありますが、最終的に選ぶのはお客様自身です。
だからこそ、「こうしなきゃダメです」と押すのではなく、気づきのきっかけをそっと渡すような存在でありたいと思います。
そうした信頼ベースの提案こそが、サロンでの商品販売を自然なものにしていきます。
最後に:商品販売は、信頼の“結果”である
スタッフ指導の中でもよく伝えるのですが、「商品が売れた=接客が正しかった証拠」ではありません。
むしろ、「信頼が築けていた結果として、商品も受け取ってもらえた」と考える方が、美容師として自然なあり方ではないでしょうか。
テクニックよりも信頼。
数字よりも、目の前の一人ひとりの満足度。
そんな姿勢が、結果的に数字を生む——Root4Beautyは、そう考えています。
