2025.05.14理美容

「人で勝負する仕事」だからこそ、仕組みは武器になる。

こんにちは、Root4Beautyの平井です。

美容師という仕事は、技術職であり、接客業であり、そして何よりも“人で勝負する仕事”です。
カットやカラーが上手なだけでは選ばれ続けない。
お客様が「また来たい」と思う理由は、多くの場合「この人にお願いしたいから」という“人”そのものにあります。

つまり、美容師は「人そのものが商品になる仕事」。
この構造は、僕たちにとって大きなやりがいである一方で、とても不安定で、悩ましさを抱える根本にもなっていると感じています。


美容師の働き方は、典型的な“労働集約型”

この仕事のリアルは、まさに労働集約型そのもの。

・1人のお客様に対して、自分の時間を100%使う
・売上や満足度が、自分の技術や接客力に直結する
・調子が悪ければパフォーマンスに影響し、体調を崩せばそのまま収入もストップ

どれだけ支持されても、1日に対応できる人数には限りがあります。
それが、美容師という仕事の“物理的な限界”です。

好きで選んだ仕事なのに、好きだからこそ無理をする――。
そんな現場の空気感、みなさんも感じたことがあるんじゃないでしょうか。

でも、「無理をして続ける仕事」は、もはややりがいではなく“自己犠牲”に近い。
そう思ったときに、僕の中でひとつの問いが生まれました。

「“人で勝負する仕事”にこそ、仕組みが必要なんじゃないか?」


現場で考え続けた“仕組み化”の可能性

ここ数年、僕はRoot4Beautyの開発や現場サポートを通して、サロンワークの“仕組み化”について深く向き合ってきました。

・予約管理やカルテをデジタル化して、情報を一元化
・技術や接客の流れをシステム化して、業務を標準化
・SNS導線や口コミ導入を仕組み化して、集客の自動化を目指す

これらの取り組みによって、現場の負担は確実に減ってきました。
「効率的になった」「時間に余裕ができた」という声も増えてきています。

でも、その一方で、僕の中に残っていたのはこんな疑問です。

「この仕組みって、本当に“全員”を幸せにしているんだろうか?」


結果が出やすいのは、いつも“端っこ”の人たち

僕が現場で感じていることですが、仕組み化によって成果を出しやすいのは、だいたい2つのタイプ。

・すでに圧倒的に優秀なトップ層
・まだ経験の浅い新人・アシスタント層

トップ層は、仕組みを自分のスタイルに自然と組み込めるし、
新人層にとっては、明確なルールや手順が安心材料になります。

問題はそのどちらでもない、「中間層」の美容師たちです。
そして、実はこの層がいちばん多い。

・頑張っても成果が見えづらい
・評価されにくい
・やる気はあるのに埋もれてしまう

この中間層が「頑張っても報われない」と感じてしまうと、サロン全体の空気も、業界全体の未来も、どんどん疲弊してしまうと思うんです。


それでも、やっぱり仕組みは必要

それでも僕は、仕組み化は必要だと考えています。
ただし、それは“型にはめるため”ではなく、“個性を活かす土台を整えるため”に必要なんです。

・一定の品質と対応を誰でも再現できる環境
・オペレーションに追われず、人間的な接客に集中できる余白
・成功のパターンを見える化し、誰でも真似できる仕組み

こういった土台が整っているからこそ、
ようやく「自分らしさ」や「その人ならではの関わり方」が活きてくると思うんです。


美容師の価値は“仕組み化できない部分”にこそある

そもそも、美容師という仕事の本当の価値って、突き詰めれば“仕組み化できない瞬間”にあります。

・初めて会ったお客様と空気を合わせる数秒間
・鏡を見たときの、微笑みを引き出す一言
・言葉にされなかった悩みに気づく感性

こういう部分は、AIにはできない。
マニュアルにも載せられない。
まさに「人にしかできない価値」なんです。

だからこそ、それ以外の部分は“仕組みで守る”必要がある。
そうしないと、人間らしさを発揮する余力すら奪われてしまう。


美容師の未来を「みんなの声」でつくっていきたい

僕は今も、答えを探している途中です。

・技術と仕組みのバランスって、どうやって取ればいい?
・時間を短縮しながら、満足度を上げる方法はある?
・中間層をどう支えるか、組織として何ができる?

こういった問いに、現場のひとりとして、Root4Beautyの運営者として、そして美容師として向き合い続けたいと思っています。

もし、このnoteを読んで「自分も同じことを感じていた」と思ってくれた方がいたら、ぜひ声を聞かせてください。

あなたの現場での違和感や工夫が、次の美容業界のヒントになるかもしれません。

今日も最後まで読んでくださって、ありがとうございます。

Root4Beautyでは、こんなテーマについても日々語り合える環境を用意しています。
まだ登録していない方は、ぜひこの機会に一緒に考える仲間になってくださいね。


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