2025.08.09理美容
「お待たせしない美容室」は強み?それとも“前提”?──仕組みで叶えるサービスの土台づくり

Root4Beauty運営チームです。
今回は、SNSで見かけたある投稿をきっかけに、改めて考えたことを共有します。
「お待たせしないことが私の強みです」
この一言を見たとき、共感と同時に、少しだけ違和感を覚えました。
「お待たせしない」は“価値”なのか、それとも“基本”なのか?
お客様をお待たせしないというのは、美容師にとってとても大切な姿勢です。
実際に僕自身も、できる限りスムーズなご案内を心がけています。
でも、ここで一つ立ち止まって考えてみたいのです。
それは、「お待たせしないことが強みになる」という状態が、業界としてどうなのか、という点です。
もし、どのサロンでも時間通りの施術が当たり前になっていれば、「お待たせしない」がわざわざアピールされることはないはずです。
つまり、「お待たせすること」が業界のスタンダードになってしまっているのではないか。
この点に、僕は違和感を覚えました。
美容師は「お客様の時間」を預かっている
美容室に来られるお客様の多くは、大切な予定の合間に時間をつくってくださっています。
例えば、
・このあと大切な用事が控えている方
・仕事や子育ての合間を縫って来店される方
・貴重な休日をリラックスに使いたい方
そうした方々にとって、「予約時間にスムーズに施術が始まり、終わる」ことは、技術の良し悪しと同じくらい大切な要素です。
だからこそ、「お待たせしない」は“付加価値”ではなく、“前提として整っているべきサービスの基本”だと考えています。
「仕組み」で支える、“待たせない”サロン運営
もちろん、どんなに意識していても、現場では予期せぬイレギュラーが起こることがあります。
急な予約の変更、メニュー内容の追加、スタッフの体調不良など、日々の中で避けられないこともあるでしょう。
そこで重要になるのが、「意識」だけでなく「仕組み」の力です。
個人の頑張りに頼るのではなく、チーム全体で時間を守る体制を整えることが、継続的なサービス品質の鍵になります。
たとえば、以下のようなポイントを見直すことで、無理なく“待たせない”サロン運営が実現しやすくなります。
- 施術内容と時間に基づいた、適切な予約枠の設計
- スタッフ間で所要時間を共有し、見える化
- カウンセリングの流れを設計し、時間管理に余裕を持たせる
- 忙しい時間帯のサポート体制(ヘルプ・役割分担)の整備
- 状況把握や伝達のための情報共有ツールの導入
こうした取り組みは、日々の積み重ねとしてサロンに根づいていきます。
それが結果として、「このサロン、時間がちゃんとしていて安心」とお客様に感じてもらえる理由になるのです。
業界の「当たり前」を更新し続けるという姿勢
僕たちRoot4Beautyが大切にしているのは、「昔からこうだから」ではなく、「今のお客様がどう感じているか?」という視点です。
いま、多くの業界でサービスの当たり前が見直され、アップデートされています。
美容業界も例外ではなく、「本来あるべき当たり前」が、“強み”として語られているような状態を一つひとつ見直していく必要があると感じています。
「お待たせしない」を、仕組みで、チームで、実現できる状態にする。
それはお客様の満足度を高めるだけでなく、私たち美容師自身がより快適に働ける環境づくりにもつながります。
まとめ
・「お待たせしない」は、美容師の意識ではなく、サービスの基本設計として整えるべき
・イレギュラーが起きても慌てない、余白ある仕組みづくりがカギ
・“当たり前”を疑い、アップデートすることで業界全体の信頼性が上がっていく
・その積み重ねが、美容師にもお客様にも、優しいサロンを生み出す
あなたのサロンでは、「お待たせしない」ために、どんな工夫をしていますか?
読んでいただき、ありがとうございました。
ブログへの感想やシェアも、大歓迎です。
